渡り鳥

 

宮崎・岡山と続いた高病原性鳥インフルエンザの発生について、渡り鳥の関与が推定されており、環境省野生生物課が調査に出向いている。勿論、それは必要なことであるが、2004年に始まった野生鳥類のウイルス検査の結果が陰性に終わっていることから、今回も掌握できない可能性が高いだろう。何故、現行犯逮捕できないのか?

これについて、感染症の一般論を持ち出しても解決にはならないが、環境省の調査事業の困難さを理解する手助けとなる。人間は症状が出た時に病院で検査を受けることから、病原体の検出は比較的容易である。また、養鶏場でも斃死した鶏を調べるのであるから、病原体の有無は短期間で判明する。しかし、野鳥はインフルエンザ・ウイルスに感染しても不顕性感染で終わる場合が大半であり、症状が出てもウイルスを排泄する期間は長くはない。H5N1についても、北海道大学大学院獣医学研究科の 喜田 宏教授が示しているようにカモの病状はウイルス株によって異なっており、神経症状を呈したカモは日本まで飛来できないだろうし、症状が軽い例では飛来途中で排菌が終了することも多いだろう。持続感染状態になって、日本に飛来した後に体調を崩して再度排菌が始まったカモを捕獲することによってしか、調査結果は陽性とならないことになる。これが、現行犯逮捕が難しい理由である。

 

こうした事情から野鳥の調査は難しいが、米国のテキストNational Wildlife Health Centerには次のように紹介されている。

1. 種々の鳥類に対する鳥インフルエンザ・ウイルスの感染頻度

2. 季節による鳥インフルエンザ・ウイルスの感染頻度の差異

 

Waterfowl:水禽類(ガン、カモ等)

Shorebirds:岸辺の鳥(シギ、チドリ等).

Gulls and terns:カモメとアジサシ

Marine birds:海鳥

Upland gamebirds:高地の猟鳥

Ratites走鳥類(ダチョウ、エミュ等)

Cranes:ツル

Songbirds:小鳥

Raptors:猛禽類

この図は、高病原性に限らず、低病原性の鳥インフルエンザを含めたものであるが、参考のため紹介した。小鳥の感染例は「稀または知られていない」とされており、スズメ、メジロ、ウグイスなどを怖がる必要はないだろう。また、上記に述べたように、湖や池の元気なカモも恐れる必要はない。

 

参考:国立野生動物衛生センター(National Wildlife Health Center

鳥インフルエンザ特集: Avian Influenza

米国のH5N1を含めた調査結果:Dead bird tests positive for H5N1 January 6, 2007